早速本を開ける。六つの章に分かれていて見やすそう。
第一章、自然の懐で暮らす。
第二章、カムイミンタラの夢。
第三章、故郷への思い。
第四章、川を遡るカムイチェプ。
第五章、アイヌの料理。
第六章、先人への思いを胸に秘め。
という構成。
巻末には「アイヌの歴史や文化を知るための施設」一覧。など資料としても有効な情報が満載でした。
ページを繰ると、お~、写真もいっぱいあって治造さんをモデルにしたアイヌの生きた資料集ですね。
と、ここで、一枚の写真に目が釘ずけに!・・・トップの写真です。(撮影、さとうち藍氏)
2005年7月30日、浦川治造エカシがたくさんの協力者と共に完成した「カムイミンタラ」のオープニングのセレモニーの時の写真です。
この場には外国からも二人の先住民の方が招かれました。
写真左が浦川治造エカシ、中央がアメリカからアベナキ族のトム・ドストウ氏、右がカナダからイヌー族のレオ・サンターンジュ氏。
僕もこの場に参加しているのですが、この日の感動的な儀式の様子はこの本を読んでいただくとして、注目していただきたいのはこの写真左下に写っている細長い箱なのです。
この箱、実は僕が作りました。

【楠造聖箱】・・・材木は当初彼らのスピリチュアルな木である「レッドシダー」で造ろうと思ったのですが、日本人の僕が日本で造るのだからということで日本の聖なる木の一つ「楠(くすのき)」にしました。造りは伝統的な日本の指物の技術で造りました。
あ~、話が長くならないように、かいつまんで話しますと・・・
時は1993年、国連の定めた国際先住民年、日本の先住民族アイヌの故郷であるアイヌモシリ(北海道)を世界の先住民と共に歩こう!というピースフルな企画に参加した僕は、本隊がアイヌモシリをピース・ウォークしている後から到着する二人の方をお迎えに羽田に行く係りを仰せつかったのでした。
その二人とはカナダからイヌー族のマニシャン氏、そしてアメリカからはアベナキ族のトム氏、北米先住民族の方々です。
空路彼らを北海道に案内し本隊に合流、それからアイヌモシリを共に旅したのでした。
途中、旭川では川村シンリツ・エオリパック・アイヌ氏の運営する川村カ子(ネ)ト記念館でスウエットロッジも経験しました。
北海道のピースウォークも終わり、ひとまず解散後、8月6日に広島で再合流し、原爆記念館前で祈りのセレモニーを催しました。
この旅の間、言葉は通じないのですが、トムさんの深い人間性に惹かれた僕と佐藤真起は彼に言いました「僕達のオヤジになってくれないか?」・・・それから僕達は親子になったのです。
前振り終わり!・・・これから本題です!
そのトムさんが来日のおりに持ってきていたのが「聖なるイーグルの羽」、インディアンは色々な儀式にこのイーグルの羽を使います。
それがなんと、あろうことか、大きなスニーカーの箱に入っていたのです!・・・絶句!
そこで申し出たのでした、「トム、僕は家具屋である、特に箱物を得意としている、結構上手である、あなたが持ってきたそのイーグルの箱は見るに忍びない、だからムスコの俺に作らせろ!」・・・というわけで造ったのがこの箱なのでした。
その次に来日したときに手渡し、その後気にもしていなかったのですが、このカムイミンタラで再会し、儀式の時ににおもむろに取り出された箱を見たときには震えました、感動でね。
しかし、炎天下で使われてよく今まで大丈夫だったな~ 「箱よ、よく耐えてくれたね!」
というお話の一巻の終わり~!!・・・ご清聴ありがとうございました。
ステラブログにも書きました。