日々徒然

創作家具 安藤和夫

TPPを田んぼに立って考えてみる!

 日本人にとって欠かすことの出来ない主食、お米、これは稲作によって造られます、当たり前の話ですね。でもね、稲作って「お米」を造るだけじゃないんです!
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永塚田んぼの収穫。畦には大豆が。  田んぼから採れた稲穂から籾を取り、残った稲藁はいろいろな形に加工され、我々日本人の生活に利用されます。
 写真はそのひとつ、正月飾りの祝い亀です。(拙作です。)
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 稲藁は、他にも畳床、縄、果樹の保温、家畜飼料などなど、様々に活用されています。

 また、田んぼの風景は、渡る風によって夏は外気温を下げ、視覚的にも私たちに潤いのある情緒を育んできました。
 虫は格好の住処を与えられ、それを捕食する鳥は毎年遠くから渡って来ます。
 人だけでなく、虫、鳥、魚、ドジョウ、ミジンコ、などなど、たくさんの生き物が田んぼの生態系に生息し共棲しているのです。

 田園は稲作民族である日本の原風景です。

 そこには水田という風土を介した大いなる命の循環があるのです。

 持続可能性という言葉が出来るずっとずっと昔から、日本人はそうやって暮らしてきました。ゴミも出さずにね!

 田んぼの価値って何?って聞かれて、そこから採れるお米の売値だと思っていませんか?・・・それは一部。

 何でもかんでも「お金」に換算し、暮らしの価値をお金でしか考えられなくなった品性の劣った人には判らないでしょうが、農業って、生産物だけが目的ではなく、そこで営まれる地域の暮らし方、人の生き方、その全てに繋がっているものなのです。

 その一断面が「経済(お米の売値)」であることに異存はないのだけれど、それ以外の“数値化(換金化)出来ない様々なもの”の総体があって始めて我々の暮らしがあり、日本人がこれまで営々と築いてきた文化があるのです。

 “価値あるもの”と“売れるもの”はイコールとは限らないのです。あなたは風景に値段を付けられますか?

 それを全ておしなべて“価格”に置き換えて競争する(させる)。
 弱い者は負ける、強いものだけが勝つ、それを合理化する策動がTPPです。

 「ひとつ千円のりんごを売ればいい!」・・・これは現代日本の格差社会の端緒を作った小泉純一郎氏の言葉です。

 「旨い米を作れば中国の金持ちが買ってくれる」・・・現政権の言葉です。

 裏返して言えば「金のない奴は米も買えない」ことになるのです。

 1%の卓越したスーパー農家さんだけが礼賛され、普通の農家は無能でダメな経営者として淘汰されていってしまうのです。自己責任という名のもとにね。

 今農業の現場を担っている高齢者が亡くなったら?・・後継者はいないのです、そんな仕組みを作ってしまったのが日本の政治家、そして、それを選んだのは私たちなのです。

 もしこの流れが加速したら、日本の原風景の全てが変質してしまう危惧さえあるのです。
 我々固有の文化、二千年以上に渡り連綿と続いてきた持続可能な美しい文明が破壊されるかもしれないのです。

 ・・・この文章はTPPが「稲作」にもたらす影響についてだけ書いてみました。

 他の作物も想像力を持って考えてみてください。
 いや、農業だけではなく、全てのもの造り、産業が同じように能力主義に絡め取られ、1%の成功者を夢見る奴隷制度になってしまうかもしれないのです。

 私は現在進められているTPP加盟に絶対反対です!
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