
製材です。引いた木肌を見て次に挽く厚さを即断し、指示します。
命懸けの緊張する時間です。
1994年6月4日・・・製材記録です。
写真ファイルには一枚一枚が納められています。
板に挽いた順番管理が大切ですから。

挽いた板を桟積みし、天然乾燥します。
季節ごとに天地返しをして積み替えます。
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前回の記事でご紹介した「姫胡桃厨子・ひめぐるみずし」は28年前に手に入れ製材し天然乾燥した良材でした。
以下は1994年6月4日の製材記録です。
北海道、旭川の北、中士別産の姫胡桃でした。
直径700㎜。長さ3m、クルミとしてはかなり珍しい大径木です。
購入したら製材所に予約を入れ、持ち込み、板材や角材に挽きます。
製材所では、挽く材種や太さを見てバンドソーを選び、スタンバイしてくれます。
製材が始まります。
何処から挽くか?方向を決め、製材プランを頭の中で構築しスタートします。
まず最初に挽いた木肌を見て瞬時に次に挽く厚さを即断し、指示します。
「賃挽き」と言って、一時間幾らで機械は回り、ハンドルマンは待機していますので、唸っていてもカウントされています。
命懸けの緊張する時間です。
無事挽き終えたら板をトラックで持ち帰り、板のそれぞれにナンバーを振ります(順番管理のため)
そして借りている土場や家の庭などに桟積みし、風雨に曝し、天然乾燥します。
季節ごとに天地返しをして積み替えます。
それから幾星霜・・・天然乾燥を終えた板は屋根の付いた倉庫に立てて保管します。
そこから数年後、次には外の倉庫から工房内に移し、徐々に家具として加工する湿度と環境に慣れてもらいます。
室内で使うものを造るのですから。
テーブル材の場合は立ててあった板を水平に置きます。
天と地では湿度が違いますし、家具になった後の環境に少しでも近付けるためです。
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ここからが「通常の家具職人の仕事」の始まりです。
鋸で切り、鑿で穴を掘り、ホゾを建て、様々な加工をするのはここからです。
私の場合は「職人以前」の時間が異常に長い。
それは良質な家具を造るために私が必要と思っている工程なのです。
まあ、気の長い話ですが、実は私、短気なのですけどね。笑。