無事終了いたしました。私はほとんど現場に立てませんでしたが、お出でいただいた方々並びにご注目いただいた皆様に感謝申し上げます。私としても色々と気付きと学びのある展覧会でした。

同じ方向性の「平卓」ですが、サイズと意匠が大分違います。

ススキを飾ってみました。

大西長利先生の乾漆器!

森岡季世子さんの白磁酒器。

森岡季世子さんの白磁酒器。
天板の下にくり型があります。
実は私のとって、ここがこの「平卓」のポイントです。

いかがでしょうか?
日本の家具木工の古典といえば「正倉院」そして「法隆寺」などの寺社仏閣に残る逸品がございます。
それらの什器に多用されている意匠、それにインスピレーションを得て造ったのが今回の「平卓」です。
仏教美術や建築などで良く見るこれらの意匠、「格狭間」と呼んだり、その曲線の連なりを「花(火)頭曲線」と呼んだりしています。
また、見方によっては、古代の唐草文様である「法相華文様」にも通ずるリズムを感じます。
今回、その意匠を書で言うところの臨書のように造ってみたかった!・・・のです。
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家具で「臨書」!・・・書で言うところの「臨書」、私は時々「家具」で行っています。
昔見て感動した意匠を自分の中で反芻し、時に晒し、夢想し、発酵して・・・お手本を見て真似るのではなく、自らの内部から湧き出てくる時を待ちます。
実作に取り組むまでかなりの歳月を必要とします。
出逢ったとき、その都度行う臨書、それを重ねて、今に至ります。・・・そんなおり、正倉院展が行われていました。(すでに終了)8日の日曜美術館で見て、私の感動の源流のひとつになった「紫檀木画箱」が出ていましたね、行きたかった!
さて・・・いかがでしたでしょうか?
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今回、仕事の上でも多少手の込んだ仕口をしています。
良くやる仕事なのですが、組みあがってしまうと中の様子がわからないのでたまには内部構造をお見せしようと思いました。
壊れないためにする仕事ですが、組んでしまうと二度と判らない・・・と言う仕事です。
「端嵌め」と呼びます。

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平卓に垂撥(すいはつ)をあわせることで、室内空間に密度の違う場が現出いたしました。
私は「お厨子」制作だけでなく、もうひとつのテーマとして「しつらえ」のためのお道具を造っています。
お部屋の片隅にしつらえる「置き床」「棚もの家具」・・・そして「平卓(ひらじょく)」
「香炉卓」「献物几(けんもつき)」「前机」・・・などなど、古来から多くの家具が造られています、私はそれを現代の空間に置いてみたいと思っています。
「平卓」・・・これは小さな飾り台として。
おもてなしの花を飾る台として。
季節を感じるステージとして。
かみさまに捧げる祈りの献物几として。
それは室内の一部に密度の違う特別な場を現出し「垂撥(すいはつ」と合わせることで空間を切り取ります。

DMに使われている「平卓」とともに、「日本のお正月迎え」にてご覧いただけます。